はじめに
2022年3月29日、国務院より《“十四五”中医薬発展計画の通知(中文:“十四五”中医药发展规划的通知)》が発表された。
本5か年計画の構成は以下の通り。
1章.計画策定の背景
2章.全体要求(指導思想、基本原則、発展目標)
3章.主要任務(10の主要任務)
4章. 組織実施の強化
第2章の「発展目標」では、上記スライドにある15の主要指標が掲げられている。
属性にある「予測性」とは「おそらくこれくらい行くだろう」というもの、「約束性」とは「必ずこの数値を達成する」というものである。
簡単にまとめると、以下のことが言える。
・中医医療機関数の増加
・中医医師の増加
・二級以上の中医病院における高齢者対応の強化
・地方における中医カバー率の増加
アルツハイマー型認知症となった高齢者に対する中医学治療、及びその効果についても耳にする。「二級以上公立中医病院における老年病科の設置割合(36.57%→60%)」などは、そういった期待も含まれているように感じる。
話が脱線してしまった。
《“十四五”中医薬発展計画》の第3章「主要任務」に掲げられている内容を、次から紹介したい。
10の主要任務
上記スライド内の分類を見ていただければ分かる通り、「国家リーダー ⇒ 地方リーダー ⇒ 基層施設」というピラミッド型の中医病院体系を構築する思想が見てとれる。
更に、各医療機関に中医学臨床・漢方薬などの専門部署を設置するという“点の対応”も示された。
2つ目の「主要任務Ⅱ.中医薬健康サービス能力の向上」だが、盛り沢山な内容となっている。
個人的には、「③中医・西洋医融合の向上」が興味深い。患者さんの健康・治療に向けて、
今後どのようなコンセンサスなどが発表されていくのか、注視していきたい。
主要任務Ⅲ~Ⅹの内容をまとめたスライドを一気に掲載した。
見ていただければ分かる通り、健康食品や医療ツーリズム、更には中医薬文化の普及といった内容まで、この5か年計画では示されている。
内容については、上記スライドを見ていただきたい。
さいごに
上記は、中国のある中医院で撮影したものだ。
5階にある「伝統療法科(Traditional Therapeutic Dept.)」では、針やお灸による治療も行われている。
今回の5か年計画と合わせると、国務院の考え(仮説)として以下のことが言える。
・こういった伝統療法(中医学・漢方)を、
・如何にして体系的・組織的な形で、
・西洋医学やデジタル等と融合させながら、
・国内外へ発展・普及させていくか?
中医薬の発展については、2016年10月に発表された《“健康中国2030”計画綱要》の第9条でも取り上げられている。
国家重点課題の1つともいえる中医薬の発展。今後の進展も興味深い。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。