はじめに
中国での医療政策に関する政府組織として、以下の4つが挙げられる。
・国務院:中長期的視点での方針を発表
・国家医療保障局:医療保険・入札等の公的医療基金の管理を主導
・国家衛生健康委員会:公共衛生体系の改善(疾病予防・治療・リハビリ等)、公立・民営医療機関の改善を主導
・国家薬品監督管理局:医薬品・医療機器等の審査・監督管理や、コンプライアンス規範推進等を主導
今回は、国家衛生健康委員会(上記スライド青色箇所)から出されたものを紹介したい。
医院への情報化対応要求、評価制度の導入
2021年3月15日、国家衛生健康委員会から《医院のスマート情報化管理に関する等級評価体系(試行)の通知》が発表された。
本文から抜粋した内容を紹介しよう。
【目的】
・等級評価体系を明確にすることで、医療機関がIT情報化対応を行う際の参考とする。
・各医療機関の現状評価を行うことで、更なるシステムの改善につなげる。
・他の評価体系(電子カルテ応用評価・スマートサービス評価)と共に、要求するレベルを提示することで、医療機関のレベル向上に有効となる。
【評価対象】
・情報化・スマート化といった手段によりマネジメントする医院
【評価体系】
0級:
情報管理システムがない、手仕事による管理。
1級:
情報化管理を開始。専用ソフトウェアを使っているが、機能間におけるデータ連携はない。
2級:
初歩レベルのデータ連携機能を有したシステムを構築している。管理部門内でデータ処理システムを構築し、部門内部の管理者間でオンラインによるデータ共有および処理が可能。
3級:
データ連携システムを使いつつ、業務上も部門間連携が取れ始めている。
4級:
データ連携システムを使いつつ、業務上の部門間連携がある程度取れている。診断・治療・看護・患者サービス・会計・保険等。
5級:
高度な業務連携及び戦略サポート機能を実現している。各管理部門は、院内の医療・看護・患者サービス・運営管理等のシステムを利用し、業務処理・データ照合・プロセス管理といった精密な管理を行うことができる。
さいごに
上記は、第14次5か年計画 第十三篇内の「健康中国」に関する内容をまとめたものだ。
青字で塗った箇所は、今回紹介した《医院のスマート情報化管理に関する等級評価体系(試行)の通知》と関連する衛生健康委員会の担当部分だ。医院の情報化対応レベルを向上させつつ、疾病予防・治療・リハビリといった公共衛生体系の改善を図ろうとする、国家衛生健康委員会。
健康中国2030の実現へ向けて様々な政策が打ち出されているが、出来るだけ全体像を把握しながら、中国ヘルスケア市場の未来を検討していければと思います。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。