はじめに
前回の本ibgニュースにおいて、中国新薬メーカーからよく聞く以下キーワードを紹介した。
・過去:Me-too(ジェネリック薬による基本医療の提供)
・現在:Best-in-Class(イノベーション薬の開発・販売へ参入)
・未来:First-in-Class(オリジナル薬イノベーション薬の開発、世界をリード)
「Best-in-Class」・「First-in-Class」を目指す中国新薬メーカーの代表例として挙げられるのが、百済神州(BeiGene)である。
当社の有名な医薬品では、百泽安(一般名:替雷利珠单抗注射液Tislelizmab)が挙げられる。 百済神州が独自開発したがん免疫療法治療薬で、2021年1月にノバルティス社に対して、北米・日本・EU・その他欧州6か国における共同開発・販売権をLicense-outした医薬品だ。
百済神州(BeiGene)の2020年研究開発費は、中国企業トップの12.9億USD(84.52億元)だった。ちなみに2020年の売上は3.09億USD、最終純利益は15.97億USDの赤字である。上市した米国・香港株式市場獲得した資金を基に、積極的な投資を展開している状況だ。 (過去7年間の累計赤字は130億元だが、株式時価総額は1,600億元と言われている)
中国医薬品メーカー 研究開発投資状況
各社公開情報などを基に、中国医薬品メーカーの研究開発費などを纏めてみた。
こうして整理してみると、PD-1モノクローナル抗体を開発・上市している企業の「売上高研究開発費率」の高さが改めて認識できる。
さいごに
イノベーション薬を開発する中国医薬品メーカーが増えた要因として、以下が挙げられる。
【資金調達面】
・香港株式市場のバイオ医薬品メーカーに対する優遇
・中国国内でのベンチャー企業向け市場の発展
【人材面】
・海外留学人材に対する政策優遇
・帰国後のベンチャー起業ブーム
【イノベーション薬審査制度改革】
・研究開発プロセスの短縮化
・国産イノベーション薬の発展推進
人材面で言うと、MNCから中国医薬品メーカーへ転職するケースも最近よく聞く話だ。 待遇面だけでなく、成長空間や意思決定スピードなどの要因で、人材が中国医薬品メーカーへ流れている。(客観的なデータが手元になく恐縮です)
VBP・帯量購買では、一致性評価を通った製品を持つジェネリック薬メーカー(正大天晴など)が注目されている。
一方、今回紹介したような新薬メーカーも、近年台頭してきている状況だ。 ノバルティス社のように、中国以外の市場で中国新薬メーカーと協業するMNCが今後増えてくるかもしれない。 これは、中国市場だけでなくグローバル市場全体を見る上でも、本社の方々に是非考慮いただきたい話題である。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。