少しマニアックな内容となるが、2022年10月9日に海南省人民政府から発表された《公立医院 高品質発展実施方案の推進》の内容から取り上げたい。
これは今後3~5年間における海南省公立医院の改革内容を示したものだ。この中で、「三級公立医院での普通外来診療を徐々に取り消す」という文言がある。いわゆる分級診療を進めたい意図で、三級医院で普通外来を担当する優秀医師(主には主治医師)のリソース・技術、基層病院などに展開したいという意図が見てとれる。
ちなみに海南省の三級医院数は21軒である。
上記は2022年7月12日に、国家衛生健康委員会 規画発展情報化司が発表した《統計公報》より、等級医院・基層医療衛生機構における外来診療患者延べ人数(2021年)をまとめたものだ。(全国データ)
ちなみに、コロナの影響が大きかった2020年は以下であった。
合計77.4億(100%)
・三級医院:18.0億(23.3%)
・二級医院:11.6億(15.0%)
・一級医院:2.0億(2.6%)
・未定級医院:1.6億(2.1%)
・基層医療機構:41.2億(53.2%)
・その他:3.0億(3.9%)
外来診療の約半分を基層医療衛生機構が占めているが、約25%の患者さんは今でも三級医院を利用している状況だ。
先程取り上げた海南省でのプランだが、全国的に展開される可能性は極めて低いと言われている。
三級医院の売上30~40%は外来患者から来ており、それが将来的に取り消されるという可能性は低い。また「普通外来」を「専門家外来」といった名称変更によって対応するという滑稽な話も挙がっている。
何より、現在でも延べ人数で約25%の患者さんが三級医院を利用しており、診断・治療レ
ベル・設備レベルなどの面で基層病院が全てを受け入れるのは難しいとも考えられている。
最後に。
先日の第20回党大会報告において、「公立医院は公益性として改革・深化させ、また民営医院の発展を規範化させる」という発表があった。
「公益性」が何を指しているのか今後の展開を注視していく必要があるが、今回紹介した「等級医院・基層病院」といった考え方以外に、今後「公立医院・民営医院」という切り口からも、医療機関の位置づけに大きな変化が起きてくると予想される。
(既に公立医院を対象とする公的医療費抑制に向けたVBPなどが始まっているが)
【その他】
加入する公的医療保険毎に、保険適用可能なチャネルをまとめました。よく質問される内容なので、参考として今回の記事に添付しておきます。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。