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2022年11月、VBPに関する専門家医師からのコンセンサスが発表された。
《医療機関抗菌薬集中帯量購買管理専門家コンセンサス》
- 発表日:2022年11月15日
- 発表組織:中華医学会臨床薬学分会
- VBPが常態化する中、医療機関に対して抗菌薬の安全で適切な使用方針を示すために発表されたもの
《医療機関国家組織集中購買薬品管理中国専門家コンセンサス》
- 発表日:2022年11月23日
- 発表組織:中国薬剤師協会
- 医療機関に対して、臨床上合理的にVBP対象医薬品が使用されるよう、購買・使用面での指導意見がまとめられたもの(2022年7月29日に意見募集稿が出されており、今回はその正式版が発表された)
国家VBP(第1回~第7回)では、42種の抗菌薬が対象となった。(経口剤:26種、注射剤:16種)
今回、上記1つ目の抗菌薬に関して紹介したい。
抗菌薬は、《抗菌薬臨床応用指導原則》等で医療機関に対し以下のような内容が定められている。
【収載可能な品目数】
- 三級総合医院:最大50種まで
- 二級総合医院:最大35種まで 等
【正式採用、臨時採用】
- 二級以上医院における正式採用の場合、定期的(最大2年、最短1年)に抗菌薬リストを調整する必要あり
- 臨時採用は1品目1年以内に最大5回まで。5回を超える場合、当施設の抗菌薬リストの調整を検討する必要がある
【抗菌薬の分類】
- 一級(非制限使用):臨床医師が処方可
- 二級(制限使用):主治医以上が処方可
- 三級(特殊使用):副主任以上のみ処方可
では、2022年11月15日に発表された抗菌薬VBPコンセンサスから内容を一部紹介する。
【品質に関する意見】
- 医療機関はVBP対象品(一般名)におけるGQCE未通過のジェネリック薬を使用しないこと
- 医療機関はVBP選定薬を優先的に使用する前提だが、「臨床上ニーズのあるオリジナル薬」及び「国家薬品監督管理部署が発表したGQCE薬」を保留することが可能
【VBP購入予定量の予測に関して】
- 医療機関の抗菌薬使用量は薬剤耐性の変化/変遷の影響を受けるため、他剤に比べて将来の使用量を予測することが難しい。そのため医療機関は、自病院内の各分類(非制限使用級・制限使用級・特殊使用級)の直近1年間使用量やその1年間での変化傾向、更には細菌耐性薬監測結果やその他の影響要素を考慮しながら予測すること
- 安全性や治療効果が不確定だったり薬剤耐性が拡大している抗菌薬の使用を、医療機関は主体的に厳格にコントロールし、VBP購入予定量の基数を引き下げること。またこのような医薬品に対して、購買予定量を超えて使用することを推薦しない
【VBP予定購入量の達成目標に関して】
- 客観的な原因でVBP予定使用量の任務/KPIを達成することが難しい場合、医療機関は当VBP選定薬の予定量/KPI設定数値を減らしたり或いは取り消したりすることを薦める。客観的な原因とは、医療保険償還政策の変更・省級抗菌薬物分級リストの調整・専門科ガイドラインの更新・突発的な公共衛生事件などを指す
- 客観的な理由で、年間のVBP予定購入量目標を達成できない場合、医療機関は主体的に主管部署へ書面での状況説明を行い、VBP継続契約時の事前報告数量を減らすこと
【VBP選定品購入と抗菌薬適正使用のバランス】
- 医療機関はVBPで選定された抗菌薬の使用を推進しつつ、同時に抗菌薬の臨床上における監測・管理も進めなければならない。つまりVBP予定購入目標を達成するためだけに、VBP選定抗菌薬を不合理に使用してはならない。一方、VBP選定品を信頼できないといった理由だけで、不合理に他剤を使用してはならない。
- 上記のような問題が生じるのを防ぐために、抗菌薬の臨床上における指標・監測作業を強化するよう医療機関に薦める。毎月各抗菌薬の使用状況(VBP選定品・VBP非選定品共に含む)を集計・分析するなど
- 《抗菌薬臨床応用管理弁法》に基づき、薬剤耐性菌の検出割合が30%を超えた場合はアラート情報を当医療機関の医務人員へ報告すること。40%以上の場合は当医薬品の経験的使用(エンピリック治療)を慎重にすること。50%以上の場合は感受性試験結果に基づいて使用すること。75%以上の場合は当医薬品の標的治療(ディフィニティブ治療)を一旦止め、細菌耐性監測結果に基づき、臨床上の使用方法を再考すること
コンセンサス内では上記のような内容以外に、医療従事者に対する研修や、リアルワールドデータの活用などが書かれている。
上記コンセンサスの内容や過去の国家VBPルールを見てもわかる通り、VBP対象となった抗菌薬に関して、中華医学会といった専門家の先生方から臨床面からの意見が出されている状況だ。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。