はじめに
2023年6月9日、国家医療保障局より《2023年国家医療保険・工傷保険・生育保険 医薬品リスト調整業務方案》及び関連資料の公開、意見収集が発表された。
【今回の発表文書】
- NRDL調整 業務方案(パブコメ)
- NRDL調整 申請指南(パブコメ)
昨年に比べると、今回発表された文書の内容量は非常に少ない。
【昨年の発表文書】
- NRDL調整 業務方案(パブコメ)
- NRDL調整 申請指南(パブコメ)
- 申請資料への要求事項(PPTサンプル含む)
- NRDL収載済み談判医薬品に関する継続ルール(パブコメ)
- 非独占医薬品に関する競争入札ルール(パブコメ)
そのため昨年に比べると、私のまとめる「NRDL調整ルール」も5枚もの⇒3枚ものに減ってしまう。
昨年作成したスライドをベースに、今年更新された部分を“赤字”で示したので紹介する。
2023年NRDL調整ルール(パブコメ)
「申請対象条件」について、昨年と比べて大きな変更はない。
赤字の多くは、対象期間が1年間更新されただけだ。
また新型コロナ治療薬についても、昨年は「新型コロナ肺炎診療方案リスト(最新版)に収載された医薬品」が新規収載の対象条件にあったので、今回新たに追加されたものではない。
実施ステップだが、昨年とほぼ変わらない。
しいて言うと、以下の変化が挙げられる。
- 3つ目(評価専門家による4分類リスト作成・発表)が、1か月間⇒2か月間になった。
- 4つ目(試算専門家の算出、談判・競争入札)が、2か月間⇒3か月間になった。
2022年度版NRDLは、昨年末の中国国内コロナ感染拡大により、調整後リストが発表されたのは2023年1月18日だった。
2021年度版NRDLの発表は2021年12月3日だったので、今年(2023年度版)は何も問題がなければ、上記スケジュール通り2023年11月末頃に発表されると予想される。
今回発表されたパブコメより、最後に「申請資料への要求事項」を紹介する。
ちなみにここで言う申請資料とは、スケジュールで言うと2023年7月1日9:00~2023年7月14日17:00に企業が申請する際に提出するものを指す。
申請資料への要求も昨年とほぼ変わらないが、「経済性」に関する要求内容に変化が見られる。
【昨年との違い】
- NRDL収載済み医薬品(要は談判医薬品で継続申請のもの)のみ、経済性に関する内容を提出することとなった。
- 昨年要求されていた「現在の市場価格(未定の場合は予定価格)」、「各省プラットフォームでの登録状況」、「NRDL収載済みの同一治療領域の医薬品と比較した際の、経済性に関する優勢な点・不足点」が、今回のパブコメに記載されていない。
NRDL未収載の新薬にとって、「経済性」に関する優位性を示すのは難しかった。比較対象薬がNRDL収載品となるため、特に画期的新薬のような場合、それと比較されること自体ナンセンスのようにも考えられてきた。
今回のパブコメで、NRDL収載済み医薬品のみ「経済性」の内容を提出することになった正確な背景・理由は分からないが、大きな変更点と考えられる。
以上、今回発表されたパブコメに関して、昨年のルールと比較しながら紹介した。
今回のパブコメに対する意見提出期限は、2023年6月15日である。
スケジュールだと2023年7月1日から企業による申請が始まるので、近々正式版が発表されると考えられる。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。