民衆の建議に対する医保局からの回答
「各省の入札購買プラットフォームが統一されていない。省市間での情報共有を行いにくい。改善を要望する。」という建議に対する国家医療保障局からの回答が、2020年9月18日に発表された。
【主な発表内容】
1.全国統一プラットフォームの構築
・全国全ての省をカバーする統一医薬品入札購買プラットフォームを構築中。
・既に14のシステムモジュールは完成しており、現在パイロット試行中。
・医薬品・医療用消耗材を対象とし、当統一プラットフォームでは、入札申請・入札選定・購買・取引業務・支払手続き・評価といった全プロセス管理が将来行われる。
2. 集中購買の対象品目を拡大
・既に国家レベルでのVBPを3度実施し、合計112品目の医薬品が対象と決まった。
・GQCE未通過の品目についても、河北・安徽・福建・湖北・湖南・広西・青海などで省レベルのVBPが行われ、成果が出ている。
3. 医保定点社会医療機関及び医保定点リテール薬局に対して、集中購買の対象になるよう激励中
・《国家医疗保障局等九部门关于国家组织药品集中采购和使用试点扩大区域范围实施意见》(医保发〔2019〕56号)でも明示したとおり、医保定点社会医療機関及び医保定点リテール薬局が集中購買の対象になるよう激励している。
4. 政府関連部門の協業による集中購買の仕組みを構築中
・国務院・医療保障局・衛生健康委員会・薬品監督管理局等からメンバーを出し、集中購買パイロットチームを構成した。そのチームは、工業/情報化部・商務部・市場監督管理総局等とも協業しながら、医薬品の全プロセス管理(入札申請・入札選定・購買・取引業務・支払手続き・評価等)を構築中。
上記1~4の発表内容を踏まえながら、今後どのような変化が生じるかを想像してみた。
今後起きる変化(ibg仮説)
【省入札の廃止】【薬価全国連動】
・国家VBP・省級VBPや、各省市/病院によるGPO・二次価格交渉など、ここ数年“公立病院への納入価格”に関する様々な新政策が打ち出されてきた。
・上記1でも挙げたとおり、将来的に、全国統一の医薬品入札購買プラットフォームが構築される予定だ。
・また上記3で挙げたとおり、公立病院以外の医療機関・薬局に対して集中購買の対象になるよう呼び掛けているのを見ると、これらへの納入価格も同一プラットフォームで管理したい意図が見て取れる。
・省入札を担当する政府機関(ビディングオフィス)だが、2018年から医療保障局配下に移った。入札・医療機関への納入価格・保険償還を一元管理する医療保障局が2018年に設立されてから、【省入札の廃止(ibg仮説)】も、おそらく彼らのプランに入っていたように考えられる。
上記ibg仮説が現実化した場合、製薬会社にどんな変化が生じるだろうか?
【各省入札担当者の役割を見直し】
・省入札が無くなり、全国での統一プラットフォームが構築されるため、現在各省へ配置している入札担当者の役割見直しは必須だ。
【薬価戦略の視点を変更】
・省入札制度は、ある省で入札価格を下げるとそれが他省へ影響する仕組みだった。つまり、各省の病院納入価格を比較しながら入札価格を検討していた。(地域間比較の視点)
・省入札が無くなると「地域間比較の視点」は不要となる。それに代わって「プロセス間の視点」がこれまで以上に大事になってくる。プロセス間の視点とは、海外生産/輸入→移転価格→現地包装/出荷→卸取引(卸利益含む)→病院納入→保険償還/患者負担額といったものだ。
・また保険償還で言うと、PAP(PatientAssistance Program)と呼ばれる商業保険や基金といったものも考慮する必要がある。
・つまり言い換えると、医療保障局視点も入れながら薬価戦略を検討することとなる。
さいごに
想像・仮説で色々と書いてしまい恐縮です。
ご興味のある方はibg西岡までご連絡ください。交流させていただけると幸いです。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。