はじめに
2021年9月、北京で開かれた<スマート医療イノベーション会議>の場で、北京市初となる“スマート健康連合体パイロットプロジェクト”の内容が発表された。
これは、北京清華長庚医院と北京市昌平区政府による合作プロジェクトで、天通苑健康医療連合体を構築するというものだ。
(以下は天通苑健康医療連合体のイメージ図)
詳細を紹介しよう。
・北京清華長庚医院がリーダーとなり、この地域の社区医院といった社区衛生服務中心等が紐づく医療体制。つまり、都市部における医療機関の協業モデル(=医療連合体)を形成。
・基本医療サービスに限らず、若年層~高齢者、健康者~疾病患者/慢性病患者~リハビリ患者といった対象住民に対する、全生涯・全角度からの健康管理・医療・介護サービスを提供。
・北京市昌平区政府はここ数年、ヘルスケア企業の誘致・育成・研究開発等を促進する関連政策を発表している。これまで集まった投資基金は160億元、2020年のヘルスケア産業関連収入は615.8億元だった。
上記は2021年9月にCCTVでも大きく報道されていた内容で、医療連合体だけに限らず、健康連合体という考え方もここ数年注目を集めている。
健康連合体とは?
北京市昌平区の例では「全生涯・全角度からの健康管理・医療・介護サービスを提供する」と記載したが、現行の健康連合体はそのレベルに至ったものは少なく、上記スライドのような内容だ。
どのような内容かというと、以下のような疾患を対象とする医療機関間での連携体制と言える。
・大病:がん・心血管疾患など
・慢性病:高血圧・糖尿病・高脂血症など
つまり、地方政府が主体的に参画したものではなく、病院間が点で繋がっているものと言える。
「医療連合体をはじめとする、医療衛生連合モデルと差がないのでは?」
確かに北京市昌平区のような行政地域を単位とするものでなく、病院同士の集まりだと、医療連合体と同じように感じる。
これに対して、中国健康促進基金会の終生栄誉理事長である白書忠教授は、「健康連合体は単一疾病に対する予防・早期検査・治療を目的としている」という発言をしている。
今後進む地域行政主導の住民健康管理?
上記スライドは、2019年に国家衛生健康委員会衛生発展中心より評価された河北省黄骅市の取り組みだ。地域行政が主導となって、医療機関や保険会社と協業しながら健康医療体を構築した成功例として取り上げられることが多い。
北京昌平区や河北省黄骅市のような、地域行政主導型の健康医療体構築が今後進むのか?
電子カルテといった医療データだけでなく、医療保険データ等と連携するためには、それが健全なやり方のように考えられる。今後の進捗にも注視していきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。