はじめに
上記は、国家談判を通じてNRDLへ収載された医薬品の価格に関する情報を纏めたスライドさ。
・2017~2019年:政府指定品目に対する国家談判結果
・2020年:MAH自主申請品目に対する国家談判結果
大幅に値下げした後にNRDLへ収載されても、医院でなかなか採用されない問題が生じている。そんな中登場したのが、「双通道(ダブルチャネル)政策」。
久々に、双通道政策について紹介したい。
双通道(ダブルチャネル)政策とは?
本ibgHealthcare Newsで以前も紹介した「双通道政策」。
2021年4月22日に、国家医療保障局・国家衛生健康委員会から《关于建立完善国家医保談判医薬品“双通道”管理機制的指導意見》が発表されたことは既に紹介した。
国家談判を通じてNRDLへ収載された医薬品が対象となるこの政策。
今一度、背景から簡単に紹介しよう。
【背景】
・NRDLへ収載されたがなかなか病院採用されない。
・原因としては、「医薬品収載品目数の制限」や「薬剤比率制限」が挙げられる。
【双通道政策の登場】
・NRDL談判収載品が、病院チャネルだけでなく定点薬局チャネルでも処方されることを推進する目的。
・定点薬店チャネルにおいて、公的医療保険基金の「統筹部分(全体プール分)」も保険償還として使用可能とする。
【その他】
・これはあくまで中央政府からの《指導意見》。実際の運用は、医療保険基金を管理する地方政府に委ねられる。
双通道政策がうまく進まない理由
NRDL国家談判を通じて収載された医薬品は、2020年までに242品目ある。
これらが現状の双通道政策対象品目だ。
双通道政策がうまく進まない理由としては、以下の2点が挙げられる。
【理由①】
・地方政府に対する強制力がない点。
・対応している湖北省などでも、対象は49品目となっている。
・改善すべく、中央政府より2021年10月末までに対象品目を明確にする文書が発表された。
【理由②】
・対応可能な定点薬局が少ない点。
・なぜ少ないかというと、「統筹部分(全体プール分)」の予算をリアルタイムで把握するためにはデータ連携が必要になってくる。そこまで対応した定点薬局は少ない。
・改善すべく、NRDL談判品については予算管理対象外にするなどの検討が行われている。
さいごに
「NRDL談判で価格を大幅に値下げしてくれたら、販売チャネルを確保してあげるよ」
ざっくり言うと、双通道政策をこのように表現することができる。
これはVBP(VolumeBased Procurement)も同じような考え方である。
双通道(ダブルチャネル)政策を見て思うが、政府の薬局市場に対する介入が少しずつ高まっているように感じる。
薬局は公立機関ではない。そのため、販売価格・コミッションなどは彼らが卸・メーカーと議論して決定している。
双通道政策やVBPが今後進化する過程の中、薬局市場の価格に対する中央・地方政府の強制力が今後どの程度変化していくのか?
上記スライド通り、薬局といっても様々な分類の企業が存在する。
政策による薬局市場への影響についても注意しながら、引続き中国医療市場を見ていきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。