はじめに
先週末に、国家組織医薬品連合購買オフィスから《关于报送第七批国家组织药品集中采购品种范围相关采购数据的通知(日文:第7回国家組織医薬品集中購買品種に関する購買データ送信の通知)》が各省の医療保障局へ送られた。
各省に対して、第7回国家VBP対象医薬品の購買予定量を報告するよう依頼した通知だ。
公式発表文書ではないので、内容のスクリーン表示は控えさせていただく。
今回の通知内容
【対象の医療機関】
・各省の公立医療機関・軍隊医療機関は参加必須
・その他医療機関は各省の関連規定に基づき自由参加
【報告・送信の方法】
・2021年の購買実績を参考に、各医療機関は対象品(一般名)・規格毎に購買予定量を報告・送信する。
・各省の医療保障局は医療機関からの報告データを収集・審査確認した後、それらを連合購買オフィスへ提出する。
【スケジュール】
・2月16日まで:医療機関からの購買予定量の報告
・2月25日まで:省医療保障局から連合購買オフィスへの提出
【対象の医薬品】
・全部で58品種(一般名・剤型)、品種&規格数でいうと208
・クリンダマイシンリン酸エステル注射剤(20規格)、リカドイン注射剤(9規格)など
今回の特長
各省から今後提出する「関連医薬品の購買予定量シート」には、今回“填写说明(記載時の注意事項)”欄が設けられている。
要するに、購買予定量を提出する際に「これらを考慮してくださいね」というものだ。
今回掲載されているものからいくつか例を挙げよう。
【特殊使用級抗菌薬物】
中国では《抗菌薬臨床応用指導原則》や《抗菌薬臨床応用管理弁法》等で、抗菌薬が以下3つに分類されている。
・一級(非制限使用):臨床医師が処方可能(有効性が確実、薬価低、狭い抗菌スペクトル)
・二級(制限使用):主治医以上が処方可能(有効性が確実、薬価中、広い抗菌スペクトル、細菌耐性の進展が早い)
・三級(特殊使用):副主任以上のみ処方可能(新上市の抗菌薬、薬価高、耐性菌の出現を回避すべき)
今回国家VBP対象となった医薬品の中には、三級(特殊使用)に分類されているものがいくつかある。耐性菌が出現しないように使用量の制限・管理を厳格に行ってきた医薬品も、今回国家VBP対象になったということだ。
抗菌薬の適正使用が、ICUなどの治療科室・各医療機関の感染管理科・更にはそれらをサポートする製薬メーカー間で、国家VBP実施後にどのように行われていくのだろうか?
【第1回国家重点監督管理合理用薬医薬品リストの品種】
2019年6月、国家衛生健康委員会・国家中医薬局より《关于印发第一批国家重点监控合理用药药品目录(化药及生物制品)的通知》が発表された。
リスト対象になった医薬品の臨床使用状況を重点管理し、三級医院におけるKPI指標にも考慮するといったものだ。
今回国家VBP対象となった医薬品には、この重点監督管理リストのものも入っている。
ただし希少疾患であるALS(筋萎縮性側索硬化症)は、今回の国家VBP購買予定数量から対象外となっている。
さいごに
これまで行われてきた国家VBPの「入札時期」をまとめてみた。
・第1回:2018年12月、2019年9月
・第2回:2020年1月
・第3回:2020年8月
・第4回:2021年2月
・第5回:2021年6月
・第6回:2021年11月
第6回の場合、対象リストの発表が2021年9月だった。
第6回はインスリン注射剤のみと特殊な内容だったので単純に参考できないかも知れないが、それと同じくらいのスケジュール感だと今回の第7回入札時期は2022年3月後半~4月前半と予想される。
最後に参考として、国家VBP対象品の契約期間終了後における更新ルールを紹介しておく。
【2021年までの状況】
* 更新ルールは、各省が独自にルールを定めて発表していた。
* 例えば湖北省の場合、「契約期間内に新たなGQCE品(一致性評価品)が出ていなければ、前回と同額で追加契約を行う。新たなGQCE品が出ていれば、前回選定済み企業+新たな企業の間で入札を行う」といったルールだった。
* また上記スライドの左側にある北京市の場合は、VBP選定済み品目(製品名)と、前回のVBPからは降りたが更新時に収載チャレンジしたい品目(製品名)とで、申請価格ルールが異なるものだった。
【2022年以降(ibg仮説)】
* 上記スライドの右側に掲載したとおり、2021年11月に国家医療保障局から各省に対して、契約期間終了後の更新ルールに関する“原則”が発表された。
* 色々と細かい原則が掲載されているが、要するに「前回の落札価格よりも下がるようにすること」ということだ。
* 今後は、この原則に基づいた運用が各省で行われると考えられる。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。