はじめに
各省市の衛生健康委員会のホームページでは、医療機関での各種サービス項目に対する「標準価格」が設定されている。(例:診断費用、1日の病床費用、静脈注射を打つ費用、X線造影検査費用、神経伝導速度検査費用など)
《全国医療サービス価格項目規範(2001年版、2007年修正版)》をベースに各省市が作成しており、上海市では2017年9月に更新された。ただしこれは全体冊子として更新されたものであり、新たな治療方法・検査方法等が申請・承認される度に別途追加発表されていることを注記する。
今回は上海市のものを参考に、中身をいくつか紹介したい。
【前提の説明】
・ここで設定されている標準価格とは「最高標準価格」を指す
・医薬品、体内埋め込み型医療機器などの費用は含まれない
・三級医院での手術や6歳以下への手術の場合、本標準価格に15%上乗せ可能(三級医院
&6歳以下への手術は30%上乗せ可能)
等級によって異なる診断費
《上海市医療機関医療サービス項目・価格まとめ(2017年9月)》内にある「1102.診断費用」の標準価格を抜粋した。
見ていただければ分かる通り、以下の価格方針となっている。
・三級>二級>一級
・主任医師>副主任医師
目的は「分級診療の推進」と「専門家医師への集中の緩和」だが、単価差がそこまで大きくないので効果は少ないと考えられる。
サービス項目は若干異なるが、こちらは北京市が2017年3月に追加した「医事サービス費」の標準価格・医療保険費・自己負担費をまとめたものだ。
自己負担を見ると等級医院ごとの差は殆どないが、考え方としては上海に似ている。
上海での救急車費用
《上海市医療機関医療サービス項目・価格まとめ(2017年9月)》内にある「1106.救急車費用」の標準価格を抜粋した。
【通常使用】
・病人が救急車へ乗車してから目的地へ着くまでの距離を基に算出
・3㎞までは30元。それ以降は1㎞ごとに7元追加
【火災・事故等への対応】
・待機1時間あたり80元
上海での看護費用
《上海市医療機関医療サービス項目・価格まとめ(2017年9月)》内にある「1201.看護費用」の標準価格を抜粋した。
【特急サービス】
・1日80元。24時間の専任介護体制、厳密な病状観察など
【Ⅰ級サービス】
・1日38元。15~30分毎の看護師による巡視観察など
【Ⅱ級サービス】
・1日28元。看護師による定時の巡視観察など
【Ⅲ級サービス】
・1日22元。看護師による1日2~3回の巡視観察など
上記以外に、新生児向け看護サービス・気管切開患者への看護サービスといった項目で標準価格が設定されている。
その他設定されている各種医療費
《上海市医療機関医療サービス項目・価格まとめ(2017年9月)》は全部で171ページあり、以下の構成で各項目の標準価格が設定されている。
【目次】
一. 総合医療サービス(診断費、救急車費、看護費、病床費等)
二. 医療技術診療(X線検査費、超音波検査費、血液検査費等)
三. 臨床診療(経皮的冠動脈形成術(PTCA)費、全身麻酔費等
四. 中医・民族医診療(各種針治療費、お灸療法費等)
五. 別費用の一次性使用医療機器リスト
六. 手術特殊器具設備価格表 など
興味のある方は、こちらを参考いただきたい。上海市衛生健康委員会HPより。
(http://wsjkw.sh.gov.cn/ylsfbz/index.html#)
さいごに
今回紹介した医療サービス費用だけでなく、医薬品費用も含めて対応する民間保険商品がここ数年多く販売されている。特に注目されているのは、各都市で販売されている都市型医療保険。
「年間115元の保険料で、保険給付金が最大230万元もあるの?」
「ビジネスとして破綻するのではないか?」
当時は色々な懐疑的な声が多かった都市型医療保険も、販売されてから約1年経ち、色々な情報が公開されるようになった。
次回は、都市型医療保険の現状を紹介したい。
以上
この記事は各種公開情報等を基に、ibgが内容を作成したものです。