はじめに
中国の健康食品・サプリメント市場だが、1,800億元(2018年)→2,500億元(2020年)を超える規模へと拡大した。関連企業は全国に34万社あると言われている。
市販の漢方薬も含まれているこの市場。これまでは中高年が主な消費者と考えられていたが、今では90後を代表とする若年層世代が市場の4分の1を占めている状況だ。
若者のシェアが伸びた理由として以下が挙げられる。
・コロナによる若者の健康管理意識の向上
・抖音(TikTok)といったスマートフォン向け動画アプリの発展
・購買チャネルの多様化
・若年層を対象とした商品設計
健康食品・サプリメント市場規模
上記は中国での健康食品・サプリメント市場規模と増長率をまとめたものだ。
2021年は2,708億元の市場規模になると言われている。
見ていただけると分かる通り、2018~2019年に大きな伸びを見せている。これは人々の健康意識が高まり、日常生活における栄養補給剤・必需品として認識されるようになったことが一因として挙げられる。
オンラインでの消費状況
2019年に行われた“天猫双11(タオバオ天猫での11月11日活動)”では、分類別だと健康食品・サプリメントの売上がトップだった。その中には800以上の輸入品も含まれている。
また天猫国際の統計情報だと、“90後”を代表する若年層の健康食品・サプリメントに占める消費割合は24%だった。
2020年に行われた“618セール”では、京東での発表だと6月1日~18日における輸入健康食品・サプリメントの売上は、前年同期比で+50%だった。
“京東618セール”が開始されて15分後に、湯臣倍健製品の取引額は100万元を、輸入品Swisseは100万元を超え、また善存製品は前年同期比250%だった。
湯臣倍健製品を取り上げると、“618セール”における天猫での取引額は1.53億元、京東での取引額は6,817万元だった。これは健康食品・サプリメントにおけるブランド別トップの取引額だ。また輸入品だと、Swisse製品がブランド別トップのポジションをとる。
“90後”の消費向上要因
中国若者の間で、“朋克养生”というインターネット用語が流行している。
中国語だと“一辺作死一辺自救的養生方式”という意味で、日本語だと“死に物狂いで働きながら健康管理にも気をつける生き方”と訳せる。
996(朝9時出社・夜9時代謝・週6日勤務)といった働き方が続く中、「コロナによる健康管理意識の向上(TikTok等での普及)」・「容易に入手できる多様な購買チャネル」といった要因から、多忙に働く若年層の健康食品・サプリメントに対するニーズが高まったようだ。
“90後”の消費内容
“朋克养生”という言葉が若者の間で流行する中、彼らは運動面だけでなく保健食品面からも自身をケアしている。
また“90後”の特徴として、天然由来成分のものを好む傾向にある。以下はメディアに掲載されていたアンケート結果より抜粋したものだ。
また“90後”の健康茶に対するニーズも高い。一袋100元くらいのものが主流で、主に漢方素材から出来ており、またプロモーション上は安眠効果を謳うものが多いようだ。
養生茶など、伝統的な漢方素材が使われているものは若年層に受け入れられやすく、またECサイト・メディアを通じて話題にもなりやすい状況だ。
さいごに
今回は、弊社ibg中国メンバーから投稿のあった「中国健康食品・サプリメント市場」を取り上げた。
2021年4月30日に本ibgHealthcare Newsへ紹介した「90後世代の複雑な心理を反映する養生ブーム」も、興味ある方はご覧ください。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。