はじめに
以前のibgHealthcare Newsで以下を取り上げた。
(詳細は2020年12月2日のibgNewsを参照)
・2020年11月25日、《広東・香港・マカオ大湾区医薬品・医療機器監督管理イノベーション新発展方案》が発表された。
・2022年までの目標として、香港・マカオで上市済みの医薬品・医療機器を大湾区の医療機関が使用できるベースの仕組みを構築すること等が掲げられている。
・大湾区である広東省の9都市は、広州市・深圳市・珠海市・佛山市・惠州市・東莞市・中山市・江門市・肇慶市である。
上記《方案》が発表されてから約9か月後の2021年8月27日に、広東省薬品監督管理局・広東省衛生健康委員会よりメディア向けに進捗状況の発表が行われた。
今回は、こちらの内容を紹介したい。
進捗状況
今回の発表内容を簡単にまとめた。
・2021年1月から本政策が施行されて以降、臨床緊急必要薬9品目・医療機器2品目が承認され、また150名の患者が恩恵を受けた。
・具体的には、エントレクチニブ(製品名:ロズリートレク。NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんや、ROS1融合遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する分子標的薬)や、ロルラチニブ(製品名:ローブレナ。第三世代ALK陽性非小細胞肺がん治療薬)等が挙げられる。
(ibg補足情報:日本では、ロズリートレクは先駆け審査指定制度、ローブレナは条件付き早期承認制度の対象品目である。)
・指定医療機関として承認されたのは、以下の5軒。
香港大学深圳医院(三級医院、深圳市)
広州現代医院(二級医院、広州市)
広州和睦家医院(二級医院、広州市)
珠海希玛林順潮眼科医院(二級医院、珠海市)
中山陳星海医院(三級医院、中山市)
さいごに
大湾区である広東省の9都市だが、香港・マカオ上市済み医薬品・医療機器の使用だけでなく、OTC医薬品の越境ECについても取り組もうとしている。
海南島博鳌楽城医療特区に比べると注目度は低いかも知れないが、人口1億2600万人を抱える広東省であることを考えると、中国本土未上市の新薬・医療機器・OTC薬のターゲット地域としてこの大湾区も引続き注視しておきたい。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。