はじめに
2021年2月19日、国務院から《医療保障基金使用監督管理条例》が公布された。本条例は2019年4月にパブリックコメントが出されていたが、それから約2年経って公布されたことになる。
今回公布された本条例だが、2021年5月1日から施行される。
本条例だが、以下XXつから構成されている。
1.総則(第1条~第7条)
2.基金使用に関して(第8条~第21条)
3.監督管理に関して(第22条~第35条)
4.法律責任(第36条~第48条)
5.附則(第49条~第50条)
背景
不当に公的医保基金が使われていることが、今回の条例が出された背景と言われている。
世界的に見ると、医保基金の4.6%が詐欺行為により使われていると言われている。この値を中国での金額に当てはめると、医保基金損失額は953億元にのぼる。
またこれまで医保基金使用の監督管理は、地方政府に任されてきた。
今回発表された《条例》第6条では、以下が記載されている。
・国務院医療保障行政部門が主管となり、全国の医療保障基金の使用状況を監督管理する。
・県級以上の地方人民政府医療保障行政部門は、担当地域の医療保障基金の使用状況を監督管理する。
今後、中央による指導が強化されると考えられる。
条例の概要
以下に概要をまとめてみた。
・2021年5月1日から施行
・医保取扱機関や定点医薬機構での処方・医薬品の使用を規範化するもの
・禁止行為として、過度な診療/検査、基準を超える処方、重複処方、基準を超える診療報酬などが挙げられている
・医保取扱機関や定点医薬機構等の法人およびその従事者、また保険加入者等は、資料の偽造・改ざん等により、医保基金をだまし取ってはならない
・医療保障行政部門によって、現場検査、関係者調査、検査対象組織に対する資料の提出要求などが行われる
・国務院医療保障行政部門により、医療機関や定点医薬機構及び人員等に対する信用管理制度が構築される。また監督検査の結果、行政処罰が出された場合は、それが関連システムに公示される
・医療保障基金使用内部管理制度の策定・管理などが求められる
さいごに
上記スライドは、以前の講演資料より抜粋したものだ。
今回の条例が「B.公的医療費抑制」に直接該当するかはわからないが、「医療費の適正化」を図っていることには違いない。
今後も、医保基金監督管理制度システムおよび法律執行システムが構築・改善されていくと言われている。
・健全な監督検査制度の建設
・デジタルによる監督コントロール制度の建設
・通報奨励制度の建設/改善
・信用管理制度の建設
・総合監督管理制度の建設
・社会監督制度の改善
医療機関や薬局に関する動向として、本日は《医療保障基金使用監督管理条例》を紹介しました。
以上
この記事は各種公開情報等を基に、ibgが内容を作成したものです。