昨年頃から、日本在住の方より中国の越境ECビジネスに関する質問を受けるようになった。
【質問例】
- 医療用医薬品を越境ECで販売するケースはあるか?
- 越境ECで売上を伸ばすための成功ポイントは?
- 中国未上市医薬品を越境ECで販売するのは違法か?
今回は規制関連の話となってしまうが、上記3つ目に関して紹介したい。
上記は、《薬品管理法》・《薬品輸入管理弁法》及び《刑法》を基に、質問に対する回答をまとめたスライドだ。
【上記スライドに対して頂く質問】
- 個人物品として販売するならば合法ということか
- しかし、越境ECプラットフォーム上で、未上市の医薬品(医療用医薬品含む)も普通に販売目的のような形で売られているよ
- しかも日本で処方薬のものが、越境ECサイトだと処方箋なしに購入できるよ (注:中国国内で上市済みの処方薬は、ECサイト内で電子処方箋が発行された後に処
方薬を受領する。ワクチン・精神薬品等を除く)
仰る通りである。
現状越境ECプラットフォーム上では、製薬メーカーが関与しない形で未上市医薬品が販売されていることが多い。また日本と異なり、一度に複数箱買えたりする医療用医薬品も存在する。
こんなことを言うと、現状、越境ECに対して何も制限が掛かっていないように思われてしまうが、以下スライドのような制限事項があることを示しておきたい。
要するに、越境ECプラットフォーム企業や、プラットフォーム上で医薬品を販売している企業は、上記の規制に対応しながら医薬品を越境ECサイトで販売しなければならない現状だ。
越境ECに関して議論する際、北京市や河南省といった「越境ECパイロット」も話題に出る。上記スライドの「保税モデル」がそれを指す。
北京市では2019年12月27日に《越境EC商務小売輸入商品リスト(2019年版)》が出され、また2022年1月28日にはいくつかの商品が追加・削除された《調整リスト》が発表された。
河南省の場合、現在は中国上市済みのOTC薬 13製品がリストに入っている。
北京市・河南省の保税モデルはどちらもパイロット期間中であり、今後どのような展開になるかは今のところ何とも言えない。
また越境ECではない、医薬品オンライン販売に対する管理弁法(医薬品オンライン販売監督管理弁法)が2022年12月1日より施行されたが、ワクチン・精神薬品等を除く医薬品についても、未だ利便性が高くオンライン購入できる状況だ。(例:初回購入する処方薬についても、処方箋コピーをアップロードせずアンケートへ答える形で電子処方箋が発行される)
今回は越境ECをメインに現状を紹介した。
「上市済み製品のオンライン販売」、「越境ECを通じた販売」、「O2Oを使った薬局からの即時配送」など、オンラインでの医薬品販売が発展しつつある。
「実態薬局に関する動き同様、オンライン薬局に関しても、公的医療保険(基金分)がアクセ
スビリティ向上のために将来的に適用されるのでは?」といった議論も最近出る。これについては、公的医療保険制度・医療費財源・患者さんの動き・リテール市場の対応など、政策面・経済面・技術面などから状況をウォッチし続けなければならない。
以上
この記事は各種公開情報・ibg経験等を基に、ibgが内容を作成したものです。