はじめに
2021年9月10日、第6回国家VBP(VolumeBased Procurement)に関する企業・製品リストが発表された。
第6回の特徴は、対象医薬品が全てインスリン注射薬であることだ。ちなみに中国語で書かれている“二代”・“三代”とは以下のことを指す。
【二代】
ヒトインスリン製剤。遺伝子組み換え技術を用いて酵母菌や大腸菌に導入したヒト型インスリン。
【三代】
インスリンアナログ製剤。遺伝子組み換え技術を応用して人為的に効く時間が調整されたインスリン。
今回は、インスリン注射薬81品目(製品名)が発表された。対象企業は、NovoNordisk、Lilly、Sanofi、通化東宝、江蘇万邦、誉衡薬業といった10社が対象となった。
詳細は上海陽光医薬品購買ネットに掲載されているのでそちらをご覧いただきたい。
今回発表されたリストの公示期間は2021年9月13日まで。
それ以降は、医療機関から購買予定数量を集計する予定だ。
第6回入札ルール(パブコメ版)
政府発表はされていないが、今回同時に対象製薬メーカーへ発表された《国家インスリン注射薬集中帯量購買方案(パブリックコメント)》が、各種メディアに掲載されている。
その内容を紹介しよう。
【パブコメの内容】
対象となったインスリン注射剤は、以下の視点から6つ(2×3)のグループに分類される。
・「二代(ヒトインスリン製剤)」、「三代(インスリンアナログ製剤)」
・「速攻型」、「中間型」、「混合型」
上記で分かられた6つのグループ内で、「企業+一般名」毎の入札競争を行う。
落札した企業は以下A~Cに分類される。
・分類A:落札価格が比較的低い企業の半分
・分類B:A、B以外
・分類C:落札価格の高い企業
購買契約量は以下となる。
・分類Aで価格の最も低い品目は医療機関の購買予定量の100%
・その他の分類A品目は購買予定量の80%
・分類B品目は購買予定量の80%
・分類C品目は購買予定量の50%
また分配ルールは以下の通り。
・分類C品目の購買予定量30%は、増加分として分類A品目へ分配される。どの分類A品目にするかは医療機関自身で選択する。
・A~Cどれにも分類されていない落札失敗品目について。購買予定量の80%は、医療機関自身で品目A・B品目に分配する。その場合、分類Aの量が分類Bの量を上回ること。
さいごに
これまでのVBPルールとは大きく異なるものだったため、パブコメ内のルールを解読して日本語に変えるのは難しかった。上記は参考程度にとっていただきたい。
今回のインスリン注射薬を対象とした第6回VBPだが、以下の特徴があると考えられる。
・医療機関からの購買予定量は、製品名ごとに集計される。
・落札されずに分類A~Cどれにも入らなかった品目は、公立医院の80%の市場を確実に失う。
中国では現状、二代(ヒトインスリン製剤)は基層医院等へ広く普及しているが、三代(インスリンアナログ製剤)はまだ都市の三甲医院中心に使われている。
今回のVBPが実施された後、インスリン注射薬における各チャネルの市場構成にどのような変化が起こるだろうか?
以上
この記事は各種公開情報等を基に、ibgが内容を作成したものです。